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皆さまに今伝えたい、知ってほしい財団からのメッセージ
2018.05.10

なぜ、不安は持続し、安心は泡沫(うたかた)なのか?

政治に不満
経済に不満
社会に不満
会社に不満
地域に不満
家族に不満
自分に不満
 
非難や批判が共感を呼び、不安が増幅し、持続する。
不安を煽られた人々は、安定を求め保守化する。
不確実性の代名詞にもなっているグローバル社会・経済。
反作用としてのナショナリズム(国家主義)。
安定を求めるナショナリズムが呼び込む全体主義。
 
歴史を繰り返すかのように
なぜ、不安は持続し、安心は泡沫なのか?
 
答えは、人間の脳にある。
 
動物の脳は、生存本能を満足させる為にそのほとんどが使われる。
つまり、通常は生存欲求が満たされていない状態にあるわけだから、
脳は常に不安状態ということになる。
「悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである」
というフランスの哲学者アランの言葉は、
意志によって楽観主義にならない限り悲観主義に支配されるという
人間の本能を言い当てている。
人間としての常態が不安なので、各々に安心できない不満が湧き続け、
非難や批判が共感を得ていく。
 
これを解決する為に、自分の力だけで安心を常態化することなど
できないのだと腑に落とすべきだ。
自らの安心を求めて、経済的自立による自由の獲得を目指せば、
功利を求める個人主義となり、それをベースに言動の自由獲得を目指せば
能力主義になる。
逆に、経済力や身体的能力や思考力が低下すれば、存在感が薄くなったように感じ、
自己肯定感や自己承認感も減少し、孤独になる。
自らの安心を得ようとして、孤独という不安を背負いこんでしまう。
 
止まれ!
 
答えは、不安解消のために不満を発散することには無い。
人間は、常態としてある不安を、
仲間と集まり、社会をつくり、互いの不安に寄り添い、
持ちつ持たれつの関係性を築き、仲間との共感で喜びを得、
共通の夢を持ち、実現しようとする意志で不確実な未来に向かい、
仲間がいることで夢が実現し、安心が手に入るという楽観主義になる。
安心の持続は、その楽観主義の持続から生まれる。
もっとシンプルに考えると、人は、共感し合える関係があれば、
安心が持続する動物だと言うことができる。
そして、その共感は国家主義や全体主義に向かうのでなく、
自然主義や人間主義に向かい、
未来は、生命の尊厳への時代にしなければならない。
 
夢への共感を増幅させて、不安を泡沫に!
不満への共感を増幅させて、保守化する歴史を繰り返さないように!
 
2018年5月
信頼資本財団 理事長 熊野英介