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融資対象者インタビュー(株式会社ソノリテ 社長 江﨑礼子氏)
株式会社ソノリテ 社長 江﨑礼子氏聞き手 信頼資本財団 事務局長 鴨崎貴泰
鴨崎 まず事業内容についてお話いただけますか?
江崎 事業の内容は「NPOのアシストカンパニー」ということで、特に資金集めについて外側から支援することが主な事業内容です。具体的には、オンラインの募金システムの提供、それに伴ってシス
テムを入れただけでは寄付は集まらないので、どのように寄付者の
方にコミュニケーションをとっていくか、また団体の活動をどのよ
うに伝えていくか、またはそれらの事務作業の代行、そして最後にNPO全体の組織力の底上げを目的とし、「交流事業」と呼ばれる、様々な分野の方々とネットワーキングさせていただき、最終的には、 NPOが組織として社会で活躍してもらうことを目指しております。
鴨崎 トータルなサポート、つまり寄付の仕組みだけではないサポ
ートがあるということですよね?
江崎 そうです。一つの団体と話をしていると、これらの事業は全
てつながっていくことが分かります。この先のビジョンとして考えているのが、最終的にはシステムの提供がメインの事業ではなくなってくるかもしれないと思っています。一方でオンラインの寄付とデータベースの管理がある程度組織が大きくなる上で欠かせないとも思って
おります。そこのバランス、メニューをどのようない提供できるのかが課題だと思っております。
鴨崎 この事業を始めた動機、背景を教えてください。
江崎 もともとは、オンラインで募金を集めるシステムで、なかなか使い勝手の良いものが世の中になかったというところに問題意識がありました。5~6年前のことです。そこで有志の研究会を立ち上げてシステムを開発し、あるNPOにそのシステムを使ってもらっていました。社会的には、 CSRとかNPOの数が4万を超えるような追い風になっている一方で、安全で使いやすいシステムを使っている団体が少ない。そして自分自身のNPOの職員としての経験からもNPO活動で投資をして大きく寄付を集めるという考え方自体がなかなか持てない現状がありました。9割9分の団体さんがそういった考えだと思います。私自身も最初はそういった考えでした。最初に入った団体でお付き合いしていたエンジニアの方々もみなさんボランティアで気持ちのある方にお手伝いいただいていました。しかし、ボランティアだからこそ、やはり遅くなってしまったり、やりたいことができなかったりと、様々なトラブルが起きました。そこで事業としてやっていくには、お互いに継続して良い関係を築いていく必要があり、NPOの外からの支援する仕組みを作りたいと考え、株式会社としてそれを行う方法を考えました。
鴨崎 さきほど「1つの団体と話し合っていく中で」というお話がありましたが、それはおそらく「認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会」さんだと思うのですが、その団体さんとどのようなサポートが必要か、という話し合いの中で、さきほどおっしゃったような寄付を集めるシステムだけではなく、そこに対するサポート業務、例えば寄付者とのコミュニケーションをどうとっていくかや、データベースをどう管理していこうか、また外部とのネットワークをどう作っていくかなどの具体的なニーズが線になって見えてきて、「これは他の団体でも一連の流れは成り立つはずだ」と気付き、それを今回事業化したということでよろしいでしょうか?
江崎 そうですね。
鴨崎 今後についてということで1年後、そして2年後の事業展開について現状も含めてお聞かせ下さい。
江崎 現状は、実績としては2団体に導入済みです。その他、今後導入をご検討いただいている団体さんの相談に対応したり、こちらから営業をかけたりしております。しかし、成約までに時間がかかることと、お話をしている中でいくつかハードルが見えてきました。最初は費用面が団体にとってハードルになると予想しておりましたが、いくつか別の要素もあることが分かりました。ひとつはクレジットカード会社の審査が厳しいために、審査に通らない団体さんが出てきてしまうことです。
鴨崎 現在導入されている団体さんの規模や事業内容などを教えてください。
江崎 1つはソノリテが事業を始める前からシステムを導入している「認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会」さんです。この団体は途上国で予防接種の支援をしている団体です。活動のほぼ全てを寄付で賄っている団体で、4年前からオンライン寄付のシステムを導入しています。現状年間約1500万円をオンラインの寄付だけで集めていらっしゃいます。もう1団体は「NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会」さんです。 NPO法を作った団体です。こちらは、助成金や委託事業を行いながらも本来のロビー活動は寄付で賄おうとされている団体さんですが、これまで個人の方からの寄付は賛助会員さんからの会費のみで、寄付の受け口が少なかったので、今回導入されました。今年の7月1日から開始しておりまして、始めの半年間でどのような実績が出せるのか、一生懸命取り組んでいらっしゃいます。シーズさんとはどのように寄付を呼び掛ければよいか、ということを一緒に考えております。
鴨崎 それは、Webサイト上での呼びかけやイベントの企画などですか?
江崎 そうです。
鴨崎 今後どのくらいのペースでお客様を増やしていくご予定ですか?
江崎 1年間(来年の6月まで)で10団体への導入を目標にしております。そして2年目で20団体を目指しております。データベース管理については、弊社で独自に開発したものを導入していただく方法と、すでにお客様がお持ちのデータベースを弊社にて改良・カスタマイズする方法を考えております。1年、2年で100団体に導入するようなことは考えておらず、アフターフォローや定期的なコミュニケーションを含めてじっくりお付き合いできるような数字で考えおりまして、まずは10団体さんがみなさん喜んでいただけるような形で導入したいと考えおります。
鴨崎 今年の4月から事業を開始されて、営業活動を含めて動かれていると思いますが、お客様の反応(市場の反応)はいかがですか?予想どおりですか?それとも予想外の反応などありましたか? 江崎 ここ1、2年で同じような事業を行う競合がいくつか出てきていて、価格だけで見るとお安いものも出てきました。そういったところとは競争にならないのかな?と思っていたのですが、うちの方でも契約がバンバン取れているわけではないのですが、お客様のお話を聞いてみると実際にオンライン寄付のシステムを導入されている団体さんでも、サポート体制の充実度という点で困っている方もいらっしゃることが分かりました。そして、私たちのように直接サポートのご相談に応じたり、ホームページのことまで含めたサポートを行うことができるのであれば是非御社で、というお話も頂いております。しかし、そこから実際に導入までとなると審査の問題ですとか、担当者の方は良いと思っていただいても、組織の意思決定者が別にいらっしゃるとなかなか導入のご判断をいただけなかったりということがあります。また理事がご高齢の場合はシステムの違いなどについてご理解がなかなかいただけず、価格だけで比較されてしまう事例もあります。そうこうしているうちに半年くらいの時間が経ってしまい、忘れられてしまうようなこともあります。したがって、今後はどのように組織の意思決定者へアプローチしていくのかも考えていきたいと思います。そこで、まずは10団体、様々な業種・形態の団体さんへ導入して使っていただき、「使って良かった」「このような使い方ができる」という事例を他の団体さんへお見せできるようにしていきたいです。思ったよりもうちの商品はいいのかも!と自信をもったりしております(笑)
鴨崎 実際いいものだと思いますよ!(笑)やはり、実務をされている方が多少の価格差はあってもソノリテさんのシステムの方がよい、という判断を実際にされているということは、実務者のニーズに訴求出来る商品の提供とご提案が出来ているのだと思います。あとは理事など上層部を簡単に説得できる魔法のツールの開発が必要ですかね?(笑)それはどの団体も欲しがると思いますよ(笑)
融資について
鴨崎 まず財団の存在をどこでお知りになったのですか?
江崎 弊社の監査役の会計士の方から紹介があり、融資説明会があることを知りました。
最初は当社が融資を受けるというよりは、当社のシステムの導入を検討くださるNPOさんにシステムの
導入費用に対する融資をご紹介できるのでは、と考えて説明会に参加しました。
鴨崎 そこから実際はソノリテさんご自身が融資を申し込もうと切り替わったというのは、
何かきっかけがあったのですか?
江崎 1つは、資金調達について真剣に考えなければいけない時期だったことです。
そして一番大きかったのは、説明会でうかがった「信頼を担保にする」というネットワークづくりという言葉が
私にはすんなり入ってきて、「まさにここは信頼できる財団ではないか」と考えて申し込むことを決めました。
鴨崎 ありがとうございます!融資の仕組みが独特だと思いますが、その辺で理解しづらかったとか、不安などはありませんでしたか?
江崎 私は全く不安はありませんでした。まさにこれからは、こういった取り組みが重要だと思っていたので。
鴨崎 事業を行っていこうとする中で、資金調達ということは当然出てくるお話かと思います。
資金調達にはいくつか選択肢があり融資というのもその一つかと思います。
事前にどこかから融資を受けようとお考えだったのか、
それとも財団の存在を知って初めて融資についてお考えになったのか、どちらですか?
江崎 財団さんの存在を知って、融資という選択肢を考え始めました。その前は助成金や増資を検討していました。
鴨崎 今後も含めてですが、通常の金融機関で融資を受けるにあたって、
御社の中で「これがネックになる」という懸念はありますか?例えば融資に関する条件というと
金利・担保・保証の3点かと思います。アーリーステージの会社さんが苦労されるのは、
保証は代表者の保証でなんとかなるとして、物的担保がないということが一番の懸念なのかな、と思うのですが、いかがですか?
江崎 具体的に検討したわけではありませんが、お金を借りるのであれば、
銀行よりは信用金庫や日本政策金融公庫がいいよ、という情報くらいしか認識しておりませんでした。
ただ担保ももちろんのことながら、利子もスタートアップの時期で売り上げも安定しない時期には
ハードルになると思います。また、周囲の方も融資に対しては慎重な方が多いです。
鴨崎 私達も融資事業をやっていて思うのですが、
融資というものに対するニーズが思ったよりも低いように感じます。
海外の事例でNPOに対する融資に関する論文などを見ても、
多くの団体が融資を受けるリスクを避け、助成金や補助金を選択する傾向がある、
という分析をしているものがあります。その傾向は日本にも当てはまるのかな、というのが実感ですがいかがでしょうか?
江崎 少ないと思います。人ということでしたらいると思います。例えば1団体に1人くらい、担当者レベルの人の中にはそういったマインドを持っている方はいると思います。
ビジネスをやっている理事の方とか。しかし、組織として選択するかとなると非常に少ないと思います。実際、私自身の価値観が揺れましたね。周りの信頼出来る方にいろいろご相談する中で、出資のご相談や今回の融資に関して、例えば人的ネットワークや信頼責任者への登録のお願いをする中で、いろいろな価値観をみなさんお持ちで、「果たして自分はどっちなんだろう?」「資金を調達して、これを事業として展開していくべきなのか」それとも「リスクを負わないで出来ることをやればいいのでは?」というふうに揺れました。そして最後は信頼資本財団の審査にお任せしよう、と考えました(笑)。事業計画書についても、通常の融資を受けるのであれば、もっときちんとしたものを作らないとダメだよ、とアドバイスをいただいたこともあったのですが、今の自分達にはこれ以上のものは出せないので、正直ベースで財団に自分達の持っているものを全て出して、審査してもらおう、という結論になりました。鴨崎 信頼責任者になっていただいた方に信頼責任者になってください、
とお願いに行かれた際御苦労などありませんでしたか?
江崎 そうなんです(笑)すぐにご理解いただけた方もいらっしゃいましたが、
「融資」というものに対してネガティブなとらえ方をされる方もいらっしゃり、
なかなかうまくいかないこともありました。とはいえ、その方たちにはその後も変わらず
ご支援いただいておりますので、良好な関係性は継続しています。
鴨崎 みなさんその部分は苦労されているようでしたね。
直接財団からの説明を聞かれた方は財団のことや融資の仕組みについてご理解いただけるのですが、
0ベースの方に財団を説明して、融資の仕組みを説明したうえで、
聞き慣れない信頼責任者というものになってください、
とお願いするということはハードルが高いというご意見もいくつか頂きました。
ただし、財団としては、そこは是非融資を希望される方から周囲の方にご説明いただき、
ご理解をいただいたうえでお申し込みいただきたい、という思いがあります。今後長いお付き合いになりますので。
鴨崎 江崎さんにとって、ずばり財団の融資の魅力とは何でしょうか?
江崎 1つは信頼の価値です。私達もそれしかなくてスタートしている会社なので、
それを肯定していただけている感じがしました。なんでここまで応援してくださるのか分からない、
という中でいろいろな方がバックアップしてくださって事業化に至ったところもありますので、
これがこのまま継続していくためには、信頼資本財団から融資を受ける形をとることがぴったりきました。
あと魅力的なのは、融資を受けた後に、PR等バックアップしていただけることで、ありがたいと思っております。
鴨崎 審査の過程で印象深いシーンなどありますか?あの人のあの言葉が印象的だったとかございますか?
江崎 そうですね、石川さん(財団理事 石川治江 氏)にわざわざ事務所に来ていただいて、
審査していただく中で、いろいろアドバイスをいただいたのはうれしかったですね。「やれるベストを尽くしなさい」とか。
鴨崎 融資が決まった後、信頼責任者の方にご報告されたかと思いますが、どのような反応でしたか?
江崎 信頼責任者のお一人は「自分がソノリテの茨城支店になるよ」とおっしゃってくださって、
営業などでもご協力いただいておりまして、お願いしてよかったな、と思いました。
鴨崎 いつかそういった御恩を返していけたらなと思いましたか?
江崎 そうですね。
鴨崎 私達もそういった人間関係を紡いでいきたいという思いがあって、
信頼責任制というやや分かりづらい仕組みをあえて作りましたので、実際にそういったつながりが明確になって、
関係性が深まっている様子をうかがうと大変うれしいです。
鴨崎 すでに財団からご紹介できる団体さんなどはご紹介させていただいておりますが、
今後もっと財団とこういったことをやっていきたいとか、こういったことをして欲しいといったご要望などありましたらお聞かせ下さい。
江崎 信頼を形にするというところを、イベントを含めた情報発信という部分で、
ご一緒できればいいな、と思っております。あと説明会のときにもおっしゃてましたが、
「信頼資本財団で融資を受けた」ということが、ひとつの社会的信用になるようになっていくといいな、と思っております。
鴨崎 これから第2期の融資の募集も始まりますので、
江崎さんの周りで融資にご興味ありそうな方ですとか、
これから事業を立ち上げられようとされている方がいらっしゃれば、是非ご紹介いただければと思います。
鴨崎 最後にこれから融資をご検討くださる方々に対して一言お願いいたします。
江崎 融資は、チャレンジだと思いますし、冒険かもしれません。
ただこの信頼資本財団の融資を申し込んで、審査を受ける過程で、
いろいろな付加価値というか、温かいものとか、いろいろなことを私自身学ばせていただく機会になりました。
それなので、是非やりたいことがある方は、チャレンジしていただいたらよろしいかと思います。
鴨崎 最高のコメントありがとうございます!(笑)本日はありがとうございました。
他の第1期融資対象者のインタビューを見る⇒株式会社オモレイ 社長 大亀靖治氏 インタビュー
